象は鼻が長い

ホーム | 物件探しを依頼する | ログイン | 未公開物件から探す  | お気に入りに登録した物件0

TOP > 象は鼻が長い

象は鼻が長い

最近、「象は鼻が長い」という本を読みました。
タイトルを見たときは「子どもの本かな?」と思ったんですが、開いてみたらもうびっくり。助詞「は」について、こんなに深く掘り下げられるのか!というくらい、本気の日本語論が展開されていました。

著者は三上章さんという言語学者。この本、実は“日本語には主語がない”という大胆な考え方で知られている名著なんです。出版はかなり前なのに、今でも多くの研究者や日本語教師に読み継がれているとか。


「象は鼻が長い」ってどういう文?

「象は鼻が長い」という文を学校で習ったとき、「象」が主語で「鼻が長い」が述語——と習いましたよね。
でも三上先生は、それは日本語の考え方とはちょっと違う、と言うんです。

「象」というのは“主語”ではなく、話題を示す“トピック”。
「これから象について話しますよ」と宣言しているだけ。
本当の意味で文を支えているのは、後半の「鼻が長い」だ、というのです。

つまり、「は」は主語を示すための助詞ではなく、“何について話すか”を示すためのマーカー
これが三上文法の面白いところです。


“あいまいさ”の中の知性

レビューの中に「“あいまい”で通じるのが日本語の知性だ」という言葉がありました。
本当にその通りだと思います。

たとえば、私たちは会話で「誰が」「何を」を言わなくても、だいたい意味が通じますよね。
「行きます」「やりました」——主語を言わなくても当たり前のように伝わる。
英語などの“主語がないと話にならない”言語から見ると、これはとても不思議なことです。

でもこの“あいまいさ”こそ、日本語らしい優しさや思いやりを作っている気がします。


営業の言葉にも通じる“は”の力

この本を読んで一番心に残ったのが、「“は”は文のテーマを引っ張る」という考え方です。
たとえば営業メールでも「今回のご相談は、○○についてです。」と書くだけで、内容全体が整理されやすくなります。
逆に、「私が」「あなたが」と主語をつけすぎると、かえって距離を感じさせてしまうこともあります。

日本語の“あいまいさ”は、使い方次第で“やわらかい伝え方”になる。
つまり、言葉のトーンコントロールが日本語にはしっかり組み込まれているんですね。


「伝える」と「伝わる」は違う

営業の仕事では、メールやLINEなど文章だけのやり取りが多いです。
だからこそ、「伝える」よりも「伝わる」ことを意識するようになりました。

例えば「確認しておきますね」という一文。
自分では丁寧なつもりでも、相手によっては「どっちが確認するんだ?」と伝わることもある。
ほんの一言でも、文の組み立てや語感で印象が変わってしまうんです。

そんなとき思い出すのが、三上先生の言う「“は”が示す文全体の流れ」。
「何について」「どんな気持ちで」話すかが伝わるだけで、同じ内容でも受け取られ方がまったく違ってきます。


言葉の向こうにある“人”

読み進めるうちに気づいたのは、日本語の文法を論じながらも、三上先生は“人と人をつなぐ言葉”を考えていたんじゃないか、ということ。
日本語って、言葉だけで完結せず、相手の理解や空気感に委ねる言語なんですよね。
ビジネスでも「全部を言葉で縛らない」ことで、相手への信頼や余裕が伝わることがあります。

営業の現場で、「正確な説明」と同じくらい大切なのが“温度感”。
だから、あいまいな部分をうまく残しながら、相手に考える余地を渡すことも、立派なコミュニケーションだと思うようになりました。

Copyright (C) 株式会社財成リアルティ